武井 清KIYOSHI TAKEI
1931年東京生まれ。学生時代にトレーニングのため訪れた八方尾根の山スキー体 験から山の魅力に感動、以後取り憑かれたように登り、描き、滑る。海外経験も豊 富なベテランのアルピニストである。滝谷の夕景に出会い「生涯山岳画一筋」を決め、山以外の制作は一切断った。北アルプスをこよなく愛し、特に穂高連峰、滝谷、 槍ヶ岳を生涯のテーマとして追い続けている。上級者のみが向かうことのできる標高 3,000メートル級の岩壁や、刻々と変わりゆく岩場の表情を、独自の構図でダイナミックに描いている。全国の百貨店で40年以上にわたり開催した個展は通算100回を超え、全国に多くのファンを持つ。日本山岳会会員、日本山岳画協会会員。
- 滝谷夕照 / 作家蔵
- 劔岳朝暘 / 作家蔵
千葉 潔KIYOSHI CHIBA
1953年大阪生まれ。学生時代から登山や絵画に親しむ。大阪芸術大学卒業後は高校の美術教師として勤務。当時は山岳画を一切描かなかったが、友人との登山で「そんなに山が好きなのにどうして描かないのか」との一言に気づかされた。以後、各地で個展を開催するが、2004年日本山岳画協会に入会(現在は退会)し、武井清 とともに、槍ヶ岳山荘でスケッチ講師を担当するなどを経て、2008 年松本市に移り住む。高山の風景はもちろん、渓流や星空など、山岳の自然の美しさを手がけている。2022年上高地ウエストン祭記念品のデザインを担当。現在は制作、発表の傍ら、地域で絵画の楽しみを教える活動にも関わり、東御市スケッチ大会講師、 NHK 文化センター松本教室講師などを務める。日本山岳会会員。
- 槍ヶ岳遠望 / 2015年 作家蔵
- モルゲンロート / 作家蔵
上田 太郎TARO UEDA
1937年愛媛県八幡浜市生まれ。明治大学文学部卒。阿佐ヶ谷美術研究所で絵画を学んだ。1972 年安曇野市にアトリエを設けて居を移し、1987年日本山岳画協会に入会して以後、主に北アルプスの尾根筋をテーマにした。力強い筆致で岩稜の鋭さ や陰影を表現する独特の技法は多くの人に強い印象を与えた。海外ではスイス、ネパールにも画題を求めている。晩年、体調を崩したため、登山も制作も困難な状況となってしまったことは無念であったことだろう。2018年没。作品は安曇野山岳美術館、安曇野市立豊科近代美術館などに収蔵。日本山岳会会員、日本美術家連盟会員、日本山岳画協会会員。
- 西穂高岳頂上より焼岳、乗鞍岳、上高地を望む / 安曇野山岳美術館蔵
- 槍ヶ岳~北鎌尾根より~ / 安曇野山岳美術館蔵
春原 直人NAOTO SUNOHARA
1996年長野県東御市生まれ。東北芸術工科大学、同大学院で日本画を学ぶ。山形の山並みが長野とは異なることに興味を抱き登山を始める。筆致による表現と、登山による自身の体感を共鳴させた絵画のあり方、存在の可能性を模索している。現場での写生を土台に、墨や岩絵具を使って山や岩を表現し、現場と自身の思考が重なるような内面世界を描いている。アートフロントギャラリー(東京・代官山)、「トライアル・ギャラリー2017」(伊那文化会館)で個展。「第 4 回メタモルフォーシス展」(ギャラリー 82・長野)、「VOCA展2021 現代美術の展望─新しい平面の作家たち─」(上野の森美術 館)に出展。ザ・リッツ・カールトン日光に収蔵、アウトドアブランド「THE NORTH FACE」とコラボしたアイテムが発売されるなど、注目を集めている。
- swallow
- Veins
丸山 晩霞BANKA MARUYAMA
1867年長野県東御市生まれ。明治期に近代登山が海外から伝わると、丸山晩霞は色彩豊かな水彩 画でその魅力を伝え、日本山岳会にも入会して山岳文化の普及に貢献した。日本における山岳画 のパイオニアの一人。丸山晩霞の山への憧憬は、鬱蒼とした森林、残雪の高嶺を背景に高山植物が可憐に咲き誇る「神苑」の景色であり、湯の丸、八ヶ岳、白馬などで多くの作品を描いた。それは見る者に山の冷涼な空気や霊気などの感覚を甦らせる。今回は、1898(明治31)年に吉田 博とともに長野、岐阜県境を旅した「日本アルプス写生旅行」(飛騨の旅)のデッサンも多数展示。 太平洋美術会、日本水彩画会、日本山岳画協会創立会員。1942 年没。
- 槍ヶ岳
- 杓子、白馬鑓