丸山晩霞、大下藤次郎、三宅克己は「水彩画専門」を公言し、互いに影響を受けながら切磋琢磨し、ときには独自の方向に歩みながら、揺れ動く時代の中で水彩画の世界を切り拓いていきました。また彼らは後進の指導や水彩画文化の普及ため、指導者、教育者としても大きな影響力を発揮しました。
このことから、彼らは「水彩の三明星」と称されたのです。本展はこの三明星に深い関わりをもち、天才的な画才を発揮した吉田博を交えて約120点の作品を展示します。
今回ご覧いただける作品は、文字通り「淡く透き通る」風景水彩画です。その静寂に満ちた画面からは、かすかな音が聞こえるような気がします。風のよそぎ、せせらぎ、雨音、鳥や虫の声、遠くの語らい…。
これらの「音」が静寂をより一層際立たせているのです。きっと皆さんの記憶の断片を呼び起こすことでしょう。でも、それは「いつかどこかで見たような」風景(デジャヴ)、幻であるかも知れません。
本展は、丸山晩霞没後80年・当館の開館15周年を記念した展覧会で、信州にきわめて縁の深い「水彩の明星」が一堂に集います。さらに今回は長野県では初めて島根県立石見美術館所蔵の大下藤次郎作品を多数展示する貴重な機会でもあります。
ぜひ、美しきみづゑを心ゆくまでご覧ください。
※ 一部入替を行う予定です。また丸山晩霞関連作家の作品も参考展示いたします。